「床下システム」の切り替え時期はどうやって決めたのですか?

【質問】
「床下システム」が地中熱を利用するための仕組みであることを読みました。
*参照: 地中熱利用の方法はたくさんあるのですか?

そこには「冬モード」の期間が「9月10日〜3月19日まで」と書かれてあります。そこで質問です。
なぜ「9月10日〜3月19日」なのでしょうか?その期間を冬モードにするのが最も効果的であるためだとは思うのですが、どうやって決められたのですか?


(回答)
・鋭いご質問をいただきましてありがとうございます。今まで多くのお客様、そして工務店さん達から同様のご質問をいただきました。そして口頭ではお答えしていたのですがホームページ及びメルマガ等では一切 記述していませんでした。
なぜなら、この解説はすご〜く長くなるからです(笑)。今回、思い切って書きますので、文字ばかりになりますが、覚悟を決めてお読みください。

・1990年に初めて「外断熱住宅」を建てた時から「床下システム」に似たようなものがついていました。しかし、そのシステムの目的は「地中熱利用」ではなく「床下除湿」でした。

・他にも不都合な点が多々あったのですが、それを改善する基礎となる理論がまだ確立していませんでした。そこで、社内の優秀なメンバーを集めて「住宅総合研究所」を創設しました。住宅総合研究所の活動の目的は;

①完成してお引渡しした御施主様への「効果的な住まい方のご説明」
⇒ 【外断熱の地熱住宅】住まい方についての御説明ガイドがあります!

②建築現場のチェック
⇒施工上の不具合の発見、及び 最適な建築コストを算出するためのデータ収集など

③完成してお引渡しした外断熱住宅における温熱環境の測定
⇒お引渡し後、夏と冬 各2週間 温度・湿度の測定をおこないました。
 1棟で15箇所(床下・1階・2階・小屋裏・トレイ・外気などなど) 温度・湿度の測定

この3点が、住宅総合研究所の活動の中心でした。
特に、お引渡しした建物における「温熱環境の測定」は、その後の「システム改善」にとって大変役立つ資料となりました。

つまり、「床下システムの稼動」における【期間と時間帯】の決定は「実測データを基に決定した」のです。

 「仮定 ⇒ 測定 ⇒ データの考察 ⇒ システム/稼動の再設定 ⇒ 測定 ⇒ データの考察 ⇒ システム/稼動の再設定」

これの繰り返しをおこなってきました。
現在の稼動設定にしたのは、1997年3月6日に住宅総合研究所メンバーがそれまでの膨大な測定データを基に決定しました。それが現在の稼動設定に引き継がれています。

・それでは、現在の「夏・冬モード」の稼動設定を簡単にご説明いたします。

1)リセットの時期: 3月20日〜6月9日

・この期間は冬から夏へ移行するためのリセットの時期です。床下システムは稼動しません。


2)梅雨〜夏の時期: 6月10日〜9月9日
・この期間は「夏モード」になります。床下の冷気を2階/天井付近に噴出します。
(夏モードの概念図です。画像をクリックすると拡大表示されます)

・稼動時間は下記の通りです:
○梅雨(6月10日〜7月20日): 12:00〜16:00
○夏(7月21日〜9月9日): 10:00〜21:00


3)冬の準備と冬の時期: 9月10日〜3月19日
・建物の下/地中が温かい時期から「冬モード」に入ります。地中の温かさを冷やさないために床下システムを稼動するのですから、この時期から「冬モード」に入ります。

・「冬モード」では、2階/天井付近に溜まっている暖気を床下へ噴出します。
(冬モードの概念図です。画像をクリックすると拡大表示されます)

・稼動時間は下記の通りです:
○冬(9月10日〜3月19日): 10:00〜21:00


【床下システム(地中熱を利用するシステムの名称です)について】
・床下システムを設定通りに稼動させるため、コントローラーが設置されています。下記の画像がコントローラー本体です。

床下システム コントローラー


・2階と床下間で空気を流すための配管です(一部を表示しています)(↓)

床下システム 配管


・床下にある配管は、地熱利用をおこなうための「床下システム」の一部です。(洗面脱衣室に設置してある「点検口」を開けると床下を見ることができます。)

そこには、給水・給湯の配管(下記の写真では、給水=青色 給湯=赤色)と排水管の横に太目の管があります。
それが「地熱利用システムの配管の一部」です。(画像をクリックすると拡大表示されます)

地熱利用 床下システム

下記の写真は施工中の現場で撮影したものです。床材を貼る前でないと見る事ができません。
(画像をクリックすると拡大表示されます)
CIMG3947.JPG

*管にオレンジ色のキャップがついていますが、これは工事中に配管内にホコリがはいらないための工夫です。床下を清掃する際、このキャップを外します。


ちなみに、床下システムの稼動期間・時間帯は「千葉県(関東地域)における測定結果から決定したもの」ですから、その他の地域(例えば、寒冷地)においては、それぞれの稼動期間を外気(気候)にあわせて調節してもらっています。


なお、このコントローラーは「24時間換気システム」の稼動もコントロールしています。
「24時間換気システム」の詳細については下記をクリックしてご覧ください。

【24時間換気システム】について

また、この「床下システム」と「24時間換気システム」の両方のシステムを動かすための電気代については、下記をクリックしてご参照ください。

地熱を利用することによって、冷暖房費用を少なくできることはわかったのですが、【地熱利用システム】を稼動させるのに、どれくらい電気代がかかるのですか?

【追記】
・上記は旧型コントローラーの設定方法に関する解説です。現在、コントローラーが新型になり、外気温度等の測定をもとに床下システムの切り替えをおこなうようになりました。全国各地の気候特性に合わせて、新型コントローラーが自動で判断をおこない、そして季節モードの切り替えをおこないますので、地域によっては上記の日程では切り替わりません。
詳しい内容については、下記をクリックしてご参照ください。

地中熱利用システム(エコシステム)のコントローラーが新型になりました!

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