なぜ? 基礎外断熱は普及しないのですか? 何か根本的な問題点があるのでしょうか?

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【質問】
・エコハウスを検討しています。外断熱工法を調べていくうちにわかったのですが、外断熱住宅と言っても「基礎の外側を断熱する方法」と「基礎の内側、もしくは床を断熱する方法」の2種類がある事を知りました。
そして、打ち合わせ中の工務店さんからは、【「基礎の外側を断熱する方法」はメジャーではなく、一般的には「基礎の内側、もしくは床を断熱する方法」の方が多いです】とアドバイスされました。

原理的には「基礎の外側を断熱する」方がより効果が高いと思います。
なぜ? 一般的には「基礎の内側、もしくは床を断熱する方法」の方がメジャーなのですか?
基礎の外側を断熱するのは、何か、大きな問題が発生するのでしょうか?
教えてください。


(回答)
・ご質問の通り、一般的に施工数が多いのは「基礎の内側、もしくは床を断熱する方法」です。
・建築する立場としては【基礎外断熱の問題点】を知っているため、どうしても【基礎外断熱】をすることに躊躇してしまいます。

【基礎外断熱の問題点】とは、下記の2点で;

1)基礎外断熱によるシロアリ被害
2)基礎外断熱による床下のカビ問題

この問題が、いままでは、「根本的に解決するのが難しい」と認識されていたため、【基礎外断熱】が普及しないのです。

すでに、同様のご質問をいただいております。下記をクリックしてご参照ください。

基礎外断熱はシロアリに弱いのですか?

住宅建築に関わる人達は誰でも知っています。
「基礎の外側を断熱した方が【床断熱】よりも効果が高い!」

しかし、一般的(つまり、施工数が多い方)なのは【床断熱】の方です。
新築でもリフォームでも同じです。圧倒的に【床断熱】の方が多いのです。

【基礎外断熱の問題点】がなかなか解決しなかったからです。
それでは、「基礎外断熱がなかなか普及しない理由」について、詳しく説明していきましょう。それは、

★基礎外断熱がなかなか普及しない理由とは?★

新築とエコリフォームの場合、それぞれにおいて、【基礎外断熱】がなかなか普及しない理由を明確にしていきます。

●【新築の場合】 なぜ?基礎外断熱が普及しないのか?

1)基礎の外側に張る断熱材の内部にシロアリが侵入する危険性が高いため。
2)床下の相対湿度が高まり、床下にカビが発生するため。
3)床下にシロアリ防除剤を散布する事ができないため。(これは1)とも関連してきます)


●【エコリフォームの場合】 なぜ?基礎外断熱が普及しないのか?

1)床断熱に比べて「施工するのが大変である」ため。
2)基礎の外側に張る断熱材の内部にシロアリが侵入する危険性が高いため。
3)床下の相対湿度が高まり、床下にカビが発生するため。
4)床下にシロアリ防除剤を散布する事ができないため。(これは2)とも関連してきます)


「基礎外断熱の方が効果が高いのは十分わかっています。しかし、シロアリやカビの問題を考えると・・・」

そう考えて、泣く泣く、床断熱を採用している工務店さんがほとんどです。
特に、基礎外断熱材の中をシロアリが侵入すると大変な問題を引き起こす事があります。

一般的に【シロアリ点検】をおこなう場合、床下を目視チェックします。つまり、床下に潜って、蟻道(シロアリの通り道です)があるかどうかをチェックします。シロアリは地中から侵入しますので、地中から餌となる木材までの間に蟻道を作ります。
この蟻道の有無によって、シロアリ被害があるのかどうかをチェックします。

ところが、基礎外断熱材の中をシロアリが侵入する場合、蟻道を作る必要がありませんので、床下を目視チェックしても被害の有無を確認できません。

・基礎外断熱の中をシロアリが侵入した様子(↓)
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また、基礎だけではなく、その上部(壁)も外断熱である場合、「基礎 ⇒ 壁」の断熱材の中をシロアリが侵入していきますので、床下の木材(土台など)が被害にあう前に、例えば、1階と2階の間にある「梁」をシロアリが最初に食べていく事があります。下記がその様子です(↓)

・シロアリが最初に梁から食べた場合
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このように、シロアリが「床下の木材」からではなく「梁」から食べていった場合、床下をいくら点検しても「シロアリ被害の有無」を発見する事ができません。
どうしたらよいのでしょうか?

この問題を解決するため、断熱材メーカーも懸命な努力を続けています。
そして、問題を解決するため登場したのが「防蟻対策された断熱材」です。これは、断熱材を製造する段階で、断熱材の中に「シロアリが嫌がる物質」を混入するものです。代表的な断熱材としては下記の2種類があります。

パフォームガード
スタイロフォームAT

これらの「防蟻対策された断熱材」は効果が高く、これらの登場によって「外断熱工法」では、シロアリ被害が激減しました。メーカーさんの努力に感謝ですね。
しかし、ごくわずかですが、「防蟻対策された断熱材」でもシロアリが侵入する場合があります。
【溶脱=土の中の水分に薬剤が溶け出す事】という現象によって、断熱材の防蟻効果がなくなり、結果として、徐々にシロアリに侵入されるケースが発生しています。
*詳しい内容については、下記をクリックしてご覧ください(↓)

基礎外断熱はシロアリに弱いのですか?


「えっ~~、防蟻対策された断熱材も被害にあう場合があるのですか・・・。やはり、安全を考えて【基礎外断熱】はやめておきます。床断熱の方が安心ですよね」

と思った住宅業界関係者の方、その通りです。床断熱の方があきらかに効果は落ちますが、基礎外断熱をやるよりは安心ですよ。

「それでも、基礎外断熱をやった方が良い! 何か、他にもっと良い工夫があるはずだ!」

と思った住宅業界関係者の方、基礎外断熱専用のシロアリ防除工法が登場しました。よかったですねぇ~。下記をクリックしてご覧ください(↓)

防蟻処理方法を変更したのですか?(基礎外断熱工法専用の防蟻処理方法について)


タームガードの登場によって、シロアリ被害を心配する事なく【基礎外断熱】を採用する事が可能になりました。
しかし、このタームガードが広く知られていないため、まだまだ、シロアリ被害を心配している工務店さんが多いのです。


次に【基礎外断熱】で問題になるのが、【床下のカビ問題】です。基礎を外側から断熱するのですから、一般的な基礎にある「床下換気口」がありません。(もちろん、全周換気もできません)

【基礎外断熱】は、冬、家の中を暖かくするためにベストな方法なのですが、梅雨から夏にかけて、【基礎外断熱】であるため、ある程度、地中熱をひろってしまい、結果として、「床下の温度が下がる」ことになります。
床下の温度が下がると「相対湿度」が上がります。その結果、床下にカビが発生します。

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*詳しい内容については、下記をクリックしてご参照ください(↓)
エコハウス(基礎外断熱建物)の「床下カビ問題」を解決する方法とは?


上記の中でも書いてありますが、基礎外断熱における「床下のカビ問題」を解決する方法があります。当然、私が提案している内容だけではなく、様々な方法によって、床下の相対湿度が上昇するのを防ぐ事が可能です。

つまり、かつて「基礎外断熱は危険だ!」と住宅業界から認識されるきっかけとなった【問題点】はすでに解決策が確立しています。
それなのに、なぜ?基礎外断熱がまだ普及していないのか???

それは、
【解決策が知られていないから】
なのです(泣)。きっと、もう少し経てば、多くの工務店が解決策を知るようになるので、もっともっと【基礎外断熱】が普及していきます。間違いないです!!!

上記の内容において、ご不明な点がありましたら、いつでも下記のフォームからご連絡ください。