地中には何か地熱を取り出すものを設置するのですか?

【ご質問】

地熱住宅には屋根裏あたりにファンがありますよね。地下(床下)には何もないのですか?

玉川さんのご本の図にも何もないように見えるのですが。天井あたりの暖まった空気をファンで地下に戻すというか、床下を含めて家全体にまわす、ということはわかるのですが、それではファンの力によって押された空気が床下を通って回るだけですよね。いろいろなデータを見てもそれで十分に有効ということですか。

具体的に地熱を取り出すというか、家の下の地面に工夫はあるのですか?

実は今考えている土地は日当りはよくない場所です。東京の住宅密集地なので、2、3階は十分ですが、1階にはほとんど日が当たりません。日当りのいい土地の方が地熱住宅の仕組みが有効に働く、 という記述をどこかで見たと思うのですが、それでもあえて地熱住宅にする意味はあるのか、またそれを補うような仕組みがもしかして床下にあるのか、その辺りを玉川さんご本人にお聞きしたくて、またしつこくメールさせていただきました。

【回答】

こんにちは。エコホームズ/玉川です。ご質問をいただきましてありがとうございます。

今回いただきましたご質問は、まさに、地中熱利用の核心部分です。ありがとうございます。
回答につきましては、下記をご参照ください。

1)具体的に地熱を取り出すというか、家の下の地面に工夫はあるのですか?
・地中熱を利用するため、地中から直接熱を吸い上げる管のようなものをご想像されているのではないでしょうか? 私達が建てている「伝導型地熱住宅」では基礎の下/地中に管を埋設するようなことはありません。
ただし、床下空間には下記のような配管(床下システムの一部)が設置されます。

下記の写真は施工中の現場で撮影したものです。床材を貼る前でないと見る事ができません。
(画像をクリックすると拡大表示されます)
CIMG3947.JPG

*管にオレンジ色のキャップがついていますが、これは工事中に配管内にホコリがはいらないための工夫です。床下を清掃する際、このキャップを外します。

なお、「伝導型地中熱利用」については、下記を参照してください(↓)
地中熱利用の方法はたくさんあるのですか?


2)実は今考えている土地は日当りはよくない場所です。東京の住宅密集地なので、2、3階は十分ですが、1階にはほとんど日が当たりません。日当りのいい土地の方が地熱住宅の仕組みが有効に働く、 という記述をどこかで見たと思うのですが、それでもあえて地熱住宅にする意味はあるのか、またそれを補うような仕組みがもしかして床下にあるのか?

・地中熱の熱源は「太陽の熱」です。日本各地では、それぞれの地域の日照量が違うので「地中熱の地域差」は生じてしまいます。
*詳しい内容は下記をクリックしてご覧ください(↓)
 ○全国各地の地中温度

地域全体の大きな範囲では地中熱に大きな差は発生しません。したがって、住宅密集地の東京であっても、下記のグラフのように「地中熱」は存在します。

(画像をクリックすると拡大表示されます。)

【東京:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


・ただし、「個々の住宅の日当たりの違い」は昼間の住宅内の温度には大きな影響を与えます。地熱住宅に限らず「高断熱・高気密住宅」の場合、冬 太陽の光(日射)を十分に取り入れる事ができれば、室温は上昇します。(地中熱の温度よりも高く上昇します)
そのため、日当たりの良い建物(地熱住宅)の方が、昼間は、より快適になります。

・また、家の南側が大きく開けていて、そこに十分に太陽の光をあびることができる立地である場合、地中熱はよりいっそう快適な状況になります。

・しかし、2・3階は十分な日当たりが確保できる場合、そこで取得した太陽の熱(日射)を床下システムによって、床下から家全体に取り込むことができます。つまり、1階で太陽の熱を取り込む事ができなくても、2階(もしくは3階)で取り込んだ熱を上手に活用することが可能です。
*間取り/方位にあわせて効果的なシステム設計をするからです。

・この工夫によって、住宅密集地においても、十分に地中熱利用は可能になります。
なお、ソーラーウォールなどの補助設備(太陽熱を取り込むものです)をつけることも可能です。

・いずれにせよ、建築する土地の状況/方位・高低差などを確認して、その状況にあった最適なシステムを提案いたしますので、ご安心ください。