全国各地の地中温度

昨日、東京(新宿)で『開発メンバーが語るエコシステム地熱住宅セミナー(東京)』を開催しました。【外断熱の地熱住宅】開発メンバーの中心人物である宇佐美さんが開発経緯などの細かい説明をされました。
その際、宇佐美さんが準備した「全国各地の地中温度」について、参加者の方から「ホームページにも掲載してください!」とアドバイスをいただきましたので、昨日のセミナー資料から抜粋して掲載いたします。

まずは「東京」のデータからご覧ください(↓)
(画像をクリックすると拡大表示されます。)

【東京:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 

セミナーでは、宇佐美さんが、いきなり、私に質問を投げかけてきました。

宇佐美「玉川社長、【外気】と【地中/各深さ】の平均温度が右端に表示されています。(東京のグラフで、赤色で囲んだ部分です) 外気の平均温度よりも、地中の平均温度が若干高くなっているのはなぜですか?」

宇佐美さんのセミナーでは気が抜けません。いきなり、このような質問をふってきます。

具体的に、上記のグラフをクリックしてご覧ください。

確かに、
○右端に掲載してある【外気の平均】と【地中/各深さの平均】では、【外気】の方が若干低いです。
○最も温度が高い部分を見ると、【外気】よりも、【地下50センチ】まではピーク時の温度が高くなっています。

このグラフで判明するのは、地中温度の熱源は、【外気(温度)からの熱】【太陽の日射熱】であるということです。
そのため、【外気の平均】と【地中/各深さの平均】では、【外気】の方が若干低い結果となります。

それでは、各地の「外気と地中温度」をご覧ください(↓)
*それぞれの画像をクリックすると拡大表示されます。


【前橋:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


【長野:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


【名古屋:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


【京都:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 

【神戸:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


【大分:外気温と地中温度の年間変動 1944年〜1948年】 


【補足説明】
*下記の文章は、ecoハウス研究会/顧問である宇佐美さんが作成されたものを転載しました。


【質問】
地中の各深度の年間平均温度が同じになるのはどうしてでしょうか?


【回答】
地中の温度は、外気と接している地面(地表面)の温度が伝わった(伝導した)ものですから、年間の各深度の平均温度は、熱源である地面の平均温度と同じになるのです。
また、外気温によって地表面の温度レベルが決まりますから、地中の年平均温度は、外気温の年平均温度ともほぼ同じです。

地表面の熱が地中に伝わる(伝導する)には、深さによって届く時間が違い、地下5m〜6mに届くには半年近くかかります。そのため、地中温度は深さによって特有の温度があるのだと思われがちですが、地中温度の熱源は地面(地表面)だけですから、地面の年平均温度が、地中の各深度の年平均温度と同じになるわけです。

外気温によって地表面の温度が決まり、その地表面の温度が地中に伝わって地中温度となるのですから、次のようにいえます。
 「地中の各深度の年平均温度は、地表面の年平均温度と同じであるだけでなく、年平均外気温ともほぼ同じである」

外気温は、1日の内に10℃以上も上がったり下がったりすることがあるほど不安定なものですが、地中は、その外気温を地面からゆっくり伝えて、蓄え、安定した地中温度とします。
このことは、概略的には(おおざっぱには)、
「地中は、外気温を(地温として)蓄える器である。」
ということができるでしょう。

この自然界の法則・原理を応用したのが伝導型地熱住宅エコシステムであるともいえる重要なことですからこの場を借りて少し説明しておきましょう。

基礎から屋根まで完全外断熱し、その上、要所の断熱補強をしているエコシステムの住宅においては、外気温を蓄える地中のように、室温を床下地中に蓄えます。したがって、
 「エコシステムの床下地中は、室温を(地温として)蓄える器である。」  
ということができます。

これは、「床下の地中温度のレベルは室温次第である」ということです。

エコシステムの床下地中温度は、直接外気の影響を受けませんから、実によく安定しており、春に向かって一ヶ月で1℃下がるかどうかというほど一定温度で経過します。その冬の床下地中温度のレベルは、室温で決まるということは、室温が下がらない家、熱損失の少ない家、日射取得を積極的にする家の床下地中温度は、自動的にその家に見合う温度になるということです。
平均室温に床下地中温度は限りなく近付くのです。
 
床下地中温度を、床暖房の設定温度にたとえますと、床下地中温度の設定温度は、自動的に平均室温になるのです。
室温を下げない生活を心がけている家の平均室温が18℃であったとすると、床下地中温度も18℃になります。
夜間外気温がマイナスになっても、18℃の床下地中温度が床下土間表面から放熱しますから、室温低下が抑えられます。また、日中室温が18℃以上になれば床下土間表面から吸熱して床下地中に蓄えられます。

伝導型地熱住宅エコシステムは、平均室温ができるだけ下がらない家を建てればよいのです。平均室温が下がらない生活を、太陽と大地に感謝しながら、家族で楽しみながら工夫して暮らせば、それだけで地熱活用になっているのです。