地中熱利用システム+ソーラーウォール

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千葉県船橋市に建っている地熱住宅(大久保様邸)には、「太陽熱を温風に変換するアルミ板(=ソーラーウォール」が設置してあります。

ソーラーウォールはアルミ板に細かな穴が空いてあり、穴から空気が内側に抜ける際、アルミ板の熱(日射によって温められた熱です)によって温められます。
そのため、簡単に温風を得ることができる優れものです。

この温風を、当初は、そのまま地熱利用システム(床下システム)に導入して、床下までもっていったのですが、途中で熱が逃げる量が多く、それほど大きな効果を発揮できませんでした。
そこで、大久保邸においては、温風を直接床下へ導入するように変更しました。

また、温風をただ単に床下に放出しただけでは、床下/基礎コンクリートに十分に蓄熱させる事ができないので、ある工夫をおこないました。
(この工夫部分については、特許出願中の案件ですので、詳しい記述はできません。すみません)

その工夫の結果、温風の熱を十分に床下に蓄熱する事が可能となり、驚くほどの測定結果がでました。

(大久保邸 ソーラーウォール)
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*全ての地熱住宅にソーラーウォールが標準的に設置されてあるわけではありません。大久保邸やS邸【地中熱利用+ソーラーウォール】の効果を測定中です。

大久保邸での測定データをご覧ください。 *画像をクリックすると拡大表示されます(↓)

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冬でも床下(ベタ基礎の底面)の温度が20度もあります。

ちなみに、他の地熱住宅では床下(ベタ基礎の底面)の温度は「15〜19度」の範囲です。日射取得が少ない建物(つまり、日当たりが悪い場所)では補助暖房も必要になります。

ここでわかる事は、地中熱利用システムにプラスアルファーの何かで太陽熱を取り込む事ができれば、よりいっそうの効果を発揮する事です。
また、岩手県一関市の「寒冷地型地熱住宅実験棟」で検討したテーマでは、「床下の蓄熱量を増やす工夫」でした。
床下の蓄熱量を増やすため「潜熱蓄熱材(常温では固体であるが、蓄熱すると液体になる)」を検討しました。潜熱蓄熱材は、液体になる温度を調整できるので、ソーラーウォールの吹き出し温度を検証する事によって、最適な蓄熱性能をもつことになります。

地中熱利用システムに、「太陽熱の取り込み」+「蓄熱材の開発」という2つのテーマを組み合わせると、さらに性能があがっていくと確信しています。