なぜ? 地盤調査は第三者が評価すべきなのか?

最近、地震が頻発しているからでしょうか、よく地震に対するご質問をいただきます。
そこで、私達の家造りにおける「地震に対する備え」として、下記のご提案をしております(クリックすると別画面が表示されます。そこに提案を掲示してあります。)

玉川さんが建てる家は地震に強いですか?

ここでは「建物の強度」「強度が長期間持続すること」について書いてあるのですが、もっと大切なことがあります。
それは「地盤の状態(強度)」についてです。

どんなに強固な建物を完成させたとしても、その土地が軟弱地盤では意味がありません。
地盤が弱いにも関わらず、その上に建物を建てたのでは、地盤沈下の問題だけではなく大地震が発生した時、建物にも大きな影響がでてしまいます。

そこで、住宅を建てる前に「やるべき事」は地盤を調査することです。
ところが、残念なことに、建築基準法では「地盤調査を義務付けていない」のです。役所には「地盤調査の結果」を提出することもありません。

すごく不思議なことです。さらに、もっと不可解なことがあるのです、地盤に関しては。

実際に、千葉市中央区にある「ある工務店さん」は、社長さんが歩いて(?)地盤を調査するそうです???
お客様から聞いた話ですが、その社長さんはいつもこう言っています。

「俺が土地を歩けば、だいたい地盤の状況はわかるよ。ここの土地は、そうだな、心配ないね、安心して工事をやりましょう。」

これは実話なのです。

つまり、地盤を調査する際、建築基準法で義務付けられていないため、

・地盤調査の方法
・調査の結果の評価

に関する定めがないのです。

また、別の話ですが、「調査結果の評価」についても「評価する人」によって違いが発生します。「評価する人」を言い換えると、「どんな立場(会社)が評価するのか?」ということです。

あくまでも例えですが(実際、これらの人達がすべてそうだとは思いませんが)、下記の場合、地盤調査結果に対する評価にあいまいな点ができてしまいます。

①土地を売りたい不動産業者が評価する場合

・土地を売りたいのですから、その土地の弱点(地盤が弱い)を積極的に公表するのを嫌がります。例えば、土地を購入する方が不動産業者に対して「事前に地盤調査を許可してください。その結果、購入するかどうかを決めますので」と打診した場合、不動産業者はどう答えるでしょうか?

・地盤について、絶対的な自信があれば
「どうぞ、どうぞ! どんどんやってください。地盤調査の費用はお客様負担でお願いしますね。」
と答えるはずです。
ところが、その自信がない場合、なんと答えるのでしょうか? NO(ノー)ですかね?

・したがって、不動産業者の場合、義務付けられていないので、地盤調査を事前におこなうことはほとんどありません。そのため、評価をすることもありません。
仮に、地盤調査をする会社があったとしても、その結果から「地盤改良工事をやるべきか/必要ないか?」について、どんな判断をするのでしょうか?


②建築費用を安く抑えたい建売業者が判断する場合
・最近では地盤調査を実施する会社も増えてきましたが、一般的には「建売住宅を販売する際、地盤調査の結果と評価」を公開して、その情報も買主の参考にできるようにしている会社を知りません。

・地盤改良工事は多額の費用がかかります。それは建売住宅の販売価格に転嫁されるのですから、「価格第一主義」の建売業者が積極的に「地盤調査」を行っているのか?不安が残るところです。


③建築費用を安く抑えたい注文住宅業者が判断する場合

・地盤改良工事は多額の費用が必要なのです(場合によって)。建築予算の中で、地盤改良工事に費用が出てしまうと、当然ながら、建物部分の予算が減ってきます。

・現在(将来は変わると信じていますが)、建築基準法では「地盤調査を義務付けていない」のです。つまり、これから家を建てる御施主様に「地盤調査が必要ですよ!」と言及するかどうかは建てる側の判断次第なのです。

・こんな状況ですから、「土地の上を歩いただけで地盤の強度がわかる工務店社長」という謎の存在も発生してしまうのです。


④地盤改良工事をおこなう会社が判断する場合
・地盤調査をおこなう会社は、そのほとんどが、「地盤改良工事をおこなう会社」でもあります。

・工務店が地盤調査を依頼した場合、地盤調査の結果が良好である場合、地盤調査会社(=地盤改良業者)は御施主様に「保証書」を出します。その保証とは、「調査したにも関わらず、将来 建物が沈下した場合などは、その復旧のために必要な工事費用を負担します」というものです。

・地盤調査とは、「見えない部分(地中)の強弱を判断すること」です。そのため、下記の方法が一般的です。

地盤調査
【スウェーデン式サウンディング試験 (日本工業規格 JIS A 1221)】

jiban0006.jpg

(画像をクリックすると拡大表示されます)
jiban0005.JPG

・ここで考えていただきたいのですが、「見えない部分(地中)の強弱を判断する」人(会社)が【地盤改良工事をおこなう会社】であっても良いのでしょうか? しかも、地盤調査をおこなう会社は「保証書」まで発行する立場の人達です。

疑い深い私は、ついつい、こんな風に考えてしまいます。

「地盤の強弱がはっきりしない状況(改良工事をやった方が良いのか?やらなくてもOKなのか?ビミョウな数値の場合)では、当然のことながら、地盤改良工事を担う業者であれば【改良工事をやるべきです!】と判断するのではないか?」

こんなことを言っていたら、当然のことながら、地盤調査会社(=地盤改良工事をおこなう会社)から反論されました。

判断をするための基準が定められています。そんな曖昧な判断基準ではありません。

当然その通りのはずです。はずですよね。
私は単に疑っているだけです。しかし、不安な部分ではあります。

もう一つ不安なことがあります。それは「地盤調査会社、もしくは地盤改良工事施工会社」が保証期間(10年間)は存続するのか?」という点です。地盤改良工事に付く保証については、当然のことながら保険会社がバックにいるはずですが、工事会社そのものが無くなってしまった場合、それでも保険会社は保証を継続させるのでしょうか?

ちなみに、当社の場合、地盤調査会社が地盤改良工事もおこないます。
したがって、

○地盤調査の結果を解析する手法・解析結果は適正なのか?
○地盤改良工事をおこなった場合、その10年間の保証に対して、なにか不安なないのか?

という不安が残ります。
私のこの不安は「他にも多くの人達が同じように考えていたため」だと思いますが、地盤調査会社業界が別法人を設置して、これらの不安をできるだけ解消するようになってきました。それが、【一般社団法人 地盤総合管理センター(電話 047-312-8930 FAX 047-312-8931)】です。

地盤調査した結果の解析についてですが、調査会社が調査結果に関する考察をだすのですが、それを承認するのは別法人です(↓)

●一般社団法人 地盤総合管理センター(電話 047-312-8930 FAX 047-312-8931)

なお、地盤改良工事が必要とされた場合、地盤改良工事実施後、【保証書】が発行されます。その保証書には、改良工事を実施した会社と「一般社団法人 地盤総合管理センター」が連名で記載されます。その目的ですが、

・調査会社だけの判断だけではなく、第3者も調査結果を解析することにより、より公平な判断が可能となる。
(もちろん、調査結果については当社/設計担当者も内容を考察いたします)

・保証において、もしも、地盤改良工事会社が保証機関の途中で倒産/廃業した場合でも、保証内容を継続するため。

この目的のために、第3者も承認をするようになっております。

ふぅっ・・・、「なぜ? 地盤調査は第三者が評価すべきなのか?」というテーマについて、こんなに長々と書くとは思いませんでした。

要は、「高額な工事を発注する場合、第三者の評価/アドバイスが必要ではないですか?」と提案したいのです。

これについて、みなさんはどのようにお考えですか?