【基礎外断熱における防蟻対策】

基礎外断熱


【質問】基礎断熱で地盤を温めるとシロアリを呼び寄せ、被害に遭いやすいという情報がありました。
そこでご質問させて頂きたいのですが、

1)御社の外断熱・地熱住宅での現在までのシロアリ被害状況
2)シロアリ被害にあった場合の御社のシロアリ駆除方法
3)シロアリの対策(発見及び防御のための構造・薬剤等)

以上についてご返答いただけませんでしょうか?


【回答】

これまで「基礎断熱工法は蟻害に合いやすい」と言われてきました。
しかし「基礎断熱で地盤を温めるとシロアリを呼び寄せ、被害に遭いやすいという情報」について、私たちは疑問を感じています。

種の存続がかかっていることを考えると「豊富な食料」がなければ、ただ単に「温かい」という条件だけで白蟻たちは大きな労力をかけてコロニーを移動させたりはしないと考えるからです。

つまり、「温かいこと」が白蟻を呼び寄せるのではなく「無謀に基礎断熱をして床下通気を積極的に図らない住宅(=湿気た木部がある住宅)が、シロアリを呼び寄せている。」と私たちは考えています。
また、日本の住宅史を振り返ると、関東大震災以後、建築基準法で布基礎が義務付けられてからシロアリ問題が切実となったことが解かります。

日本の風土の中で木造住宅が長持ちするためには、木部が腐ったりシロアリ被害にあったりしないように、木部を通気に触れさせて決して木部を封じ込めない」ということが先人の知恵でした。

しかし、関東大震災の被害の大きさから「耐震対策」として布基礎と床下換気口が義務付けられ、床下の通気が充分に確保されなくなると、床下環境が悪化し、シロアリ被害に遭う住宅が激増しました。
 
このことからも白蟻を呼び寄せる最も重要な条件となるのは白蟻の食料となる「湿気た(腐った)木部の存在」であると私たちは考えています。

1)「御社の外断熱・地熱住宅での現在までのシロアリ被害状況」について

私達は1993年に第一棟目の「外断熱・地中熱活用住宅」を建築し、現在までに約700棟を建築しました。

地中熱を活用するエコシステムを開発するに当たって、

床下換気口を設けないで基礎断熱にした場合、どのようにすれば床下環境を悪化させず、シリアリ問題から解放された住宅になるか

という事が最大の課題でした。

長持ちする住宅が第一目標であるエコシステムは、この課題に対して有効な手段がなければ開発を断念しなければなりませんでした。
床下にシロアリが発生する可能性を否定できないまま基礎断熱して地中熱を活用する住宅を考えることは許されません。

地中熱活用住宅「エコシステム」は、日本の伝統民家から「木部を通気に触れさせて決して木部を封じ込めない」ということを先人の知恵から学び、下記のシロアリ対策を明確にして開発されました。

1)シロアリの好物(つまり、木部を腐らせない)をつくらないため、木部は全て通気に開放し、決して封じ込めない。

2)床下〜壁空洞〜小屋裏への垂直換気を確保する。

3)床下システムによって、床下空気を淀ませないで汲み上げて除湿する。

4) 断熱欠損部を決してつくらない。特に土台が断熱欠損することになる内断熱(充填断熱)や、基礎内断熱の工法は採用しない。

さらに、シロアリに強いと言われる檜4寸角の構造材を使用し、白蟻を誘引する原因となる「湿気た木部を徹底的に作らない」完全外断熱の住宅として世に出されました。

しかし、残念ながら、築後5年経った住宅で初めてシロアリ被害が出ました。

日曜大工の廃材を外壁に立てかけていたこと。」と「住宅の構造的な問題」が重なったことが原因のとなったようです。

開発初期の外張り断熱の壁は、25mmの断熱材を2層張りにしていました。木材と断熱材を併用する工法で、断熱欠損部分が出来る工法でした。基礎に接している断熱欠損部分の横胴縁(木材)は断熱欠損によって起こる結露水を受け湿気てしまい、これが壁に立てかけた廃材に居た白蟻を誘引したと思われます。

その後、床下が湿気たことが原因で白蟻が発生した例はありませんが、

●建物の側に腐った木箱を放置していた。
●建物の隣に白蟻に喰われた古い納屋があった。

など周囲の「環境的要因」と

●土間モルタル内部に木材が埋め込まれていたため腐ってしまった。
●外壁材の裏側の外部通気が充分にとれていない部分に雨水が進入

したり、結露が起こったりてしてしまった。などの「施工的要因」が重なったケースで数棟の被害がありました。

これらの例に関しては基礎断熱工法でなかったとしても蟻害にあった可能性は非常に高いと考えられます。しかし、基礎の外断熱材が蟻道を構築しやすくしていたことも確かです。

これらの事例から原因・問題点を学び、現在の工法では「白蟻の好む、湿気た木部を作らない。」「基礎外断熱材を白蟻の通り道とならないように遮断する。」「床下の点検をしやすい構造にする。」ことを徹底して行い、防蟻対策に活かしています。

2)「シロアリ被害にあった場合の御社のシロアリ駆除方法」について

これまで蟻害にあった住宅は「白蟻の好む、湿気た木部があった。」「基礎外断熱材を湿気た木部への通り道としていた。」ことが原因となっていました。(※現在の工法は改良されています)

白蟻の食害にあった住宅への対処の方法は

1)食害にあった木部・断熱材をすべて撤去し、ヒバ材などの材料を使用して補修します。(木部の通気を確保するように施工します。)

2)液状の炭(ヘルスコキュア)を塗布します。

3)基礎外断熱材は一部撤去し、防蟻処理済みの断熱材と防蟻テープを施工し2度と白蟻の通り道とならないように遮断します。

さらに「エコベイトシステム」などで巣ごと退治・管理したケースもあります。

3)シロアリの対策(発見及び防御のための構造・薬剤等)

下記の4つの対策を行なっています。

1.木材の乾燥
白蟻は「湿気た木材を狙う」ことから、私たちはまず「木材の乾燥」に重点を置きました。
このために「木部を封じ込めない=通風を確保する」ことを目的に内外の2重通気を徹底して行なっています。
また、夏場、地中温度で冷たくなる床下空間を湿気させないために「床下システム」で除湿しています。

2.物理的防蟻対策
その上で万が一に備え、構造的に白蟻が通路にしやすい基礎外断熱に3段階の対策を行ないました。

*基礎断熱には防蟻処理済のものを使う。
*防蟻用アスファルトテープで遮断する。
*防蟻用シートで遮断・蟻返しする。

基礎外断熱のシロアリ対策

です。
これによって白蟻は外断熱材を通り抜け木材にたどり着くことができなくなります。

【基礎外断熱及び物理的な防蟻対策については、下記をご覧ください!】
(画像をクリックすると拡大表示されます)

※アリダンGAテープW135(フクビ化学工業
「アリダンGAテープ135」には、シラフォルオフェンという薬剤が混入されており、白蟻はこれを突き破ることが出来ないとのことです。また、シラフォルオフェンはVOCやPRTRなどの規制対象物質ではなく、原体自体普通物扱いで、安全性の高いものとのことです。接着剤はゴムアスファルトです。


3.防蟻・防腐処理

さらに、法で定められている地盤から高さ1mの範囲の木部への防蟻処理としてヘルスコキュア(=液状の炭)を塗布しています。

4.床下点検
床下空間の点検(清掃)が可能なように床下空間を通常より高くし(基礎立ち上がり部分の高さを430mmとしています)、点検口を2個所以上設け、人が入って隅々まで点検出来るように施工しています。