「床下システム」(地熱利用システム)とは?

【外断熱の地熱住宅】では、地熱利用のシステム(名称:床下システム)と24時間換気システムを一つのコントローラーで制御しています。

この仕組みをご説明します。

1)床下にある配管は、地熱利用をおこなうための「床下システム」の一部です。(洗面脱衣室に設置してある「点検口」を開けると床下を見ることができます。)

そこには、給水・給湯の配管(下記の写真では、給水=青色 給湯=赤色)と排水管の横に太目の管があります。
それが「地熱利用システムの配管の一部」です。(画像をクリックすると拡大表示されます)

地熱利用 床下システム


下記の写真も床下システム(配管部分)の一部です。(画像をクリックすると拡大表示されます。オレンジ色のキャップは「工事期間中、管内にホコリが入らないためのもの」です。お引渡し前に、オレンジ色のキャップは外します)

yukasita0001.jpg

2)家の中で目立たない場所にコントローラーを設置します。これは「地熱利用システム」と「24時間計画換気システム」を自動でコントロールするためのものです。

コントローラー 地熱利用システム


3)2階へあがってください。さらに小屋裏へ行くための階段をあがってください。そこには、システムが設置してあります。

床下システムと換気システム


4)奥を見ると、眼の前に設置してあるのが「地熱利用システム」の一部です。

地熱利用システム

下記の図の通り、2階天井付近にたまっている暖気を床下へ送り込むためのシステムです(夏は逆の流れをつくります ↓↓↓)(図をクリックすると拡大表示されます)

床下システム 概念図

2階天井付近に溜まっている暖気を床下に送り込むと、床下/基礎コンクリートに少しずつ蓄熱していきます。このわずかな熱によって、建物下(地中)が冷え込むのをおさえます。つまり、春から夏にかけて、地中を伝わって蓄えられた熱を冬に持ち越すための工夫です。暖気によって基礎コンクリートに蓄えられる熱は少ないので「基礎の外断熱」は絶対に必要になります。


5)「計画換気システム」も近くに設置してあります。

24時間計画換気システム

このように、地熱住宅では、小屋裏の一部空間を利用して、「地熱利用システム(床下システム)」と「24時間換気システム」を設置しています。


6)【外断熱の地熱住宅】の建っている地中(床下/基礎下の地中)に、地表面から伝わって蓄えられた地中熱を冷やさないように、9月10日から「冬モード」に床下システムは動きはじめます。
・建物の下(地中)が冷え始めてからでは遅いのです。冷え始める前から「冷やさない工夫」(それが床下システムの冬モード稼動です)がはじまります。

なお、「冬モード」は下記の期間/時間帯で、2階/天井付近の暖気を床下に送りこみます。

○期間:    9月10日〜3月19日まで
○稼動時間: 10:00〜21:00まで 

なお、床下に放出された暖気は、一部は壁の中を通り、一部は「通気幅木(1階床部分の幅木はわざと隙間を開けてあります。床下と1階床部分で通気ができるようにするためです)」から1階に放出されます。下記が「通気幅木」です。

通気幅木

7)次に「床下システム (夏モード)」について説明いたします。
・(冬モード)は3月19日に稼動を停止します。
春はリセットの時期と考えています。そのため、今度は、地熱住宅の基礎下部/地中には地表面の冷熱が伝わっていきます。また、外気が徐々に温かくなってくるので地表面の温度と地中温度の差が小さくなってきます。下記の図をご覧ください。これは3月20日と5月20日の測定データです。「3月20日から6月9日まで」の間は床下システムは停止しています。(画像をクリックすると拡大表示されます)

①3月20日の測定データ

 ↓


②5月20日の測定データ


・梅雨から夏にかけて、室温よりも「床下の温度(基礎底面の表面温度)」が低くなります。夏、室温が27度前後ですが、床下の温度は23〜25度になります。このままでは床下の相対湿度が上がりますので、それを防ぐために下記の対処をおこないます。

①家全体の湿度(絶対湿度)を下げるため、2階に設置するエアコンで家全体の除湿をおこないます。

②除湿された空気は、家の中に発生する下降気流によって下に降りてきます。
(外気温よりも室温の方が低いので、家全体に下降気流が発生します。)


③床下システム(夏モード)は、(冬モード)と逆転します。つまり、床下の空気(冷気)を吸い上げて、2階階段ホール/天井付近に放出します。それにより床下は負圧(マイナス)になります。

④床下が負圧(マイナス)になるので、下降気流によって1階に降りてきた「除湿された冷気」は床下に吸い込まれます。(通気幅木を通して床下に流れていきます。)

⑤上記により、床下の相対湿度が上がるのを防ぐと同時に床下の冷熱を循環させます。

これが「床下システム」の(夏モード)です。下記の図をご覧ください。(画像をクリックすると拡大表示されます)

【床下システム (夏モード)】

なお、「夏モード」は下記の期間/時間帯で、床下から2階/天井付近に冷気を送りこみます。

○期間:    6月10日〜9月9日まで
○稼動時間: 
・6月10日〜7月20日まで 12:00〜16:00まで 
・7月21日〜9月9日まで  10:00〜21:00