家全体の湿気対策について教えてください。

【質問】
地中熱を利用しているといっても、高温多湿地域では、換気によって、家の外から湿気を持ち込んでしまいます。どのような対策をしていますか?


【回答】
・ご指摘の通り、「地中熱利用」もしくは「外断熱・高気密住宅」であったとしても、家の中の湿気問題を解決することはできません。

・高気密住宅であれば、低気密住宅(隙間風がビュービューと入り込むスカスカの住宅のことです)とは違い、外から勝手に湿気がどんどん侵入するわけではありません。
ただし、下記の要因によって、家の中に湿気を取り込んでしまいます。

●換気によって(梅雨時であれば、新鮮空気に湿気が含まれていますから)
●人間の呼吸によって発生
●調理によって発生
●基礎コンクリートなどの構造材に含まれている


つまり、地熱住宅であっても、家の中の湿気対策は重要になります。
具体的にご説明いたします。

1)床下の湿気対策について

【外断熱住宅では基礎も外断熱にします】
その場合、「床下も室内」と考えます。
基礎の外側に断熱をおこなうと、夏、基礎/底面がヒンヤリします(地中熱のため)。すると冷たくなる分 相対湿度が上がります。
また、竣工直後の数年間は基礎コンクリートに含まれている水分が多いので、これは床下の絶対湿度を上げる原因になります。

・この問題(湿気対策)を解決するには、下記の工夫が必要になります。

○湿気が多い基礎(コンクリート)に直接 土台(木材)を載せないこと。
・大切な土台(木材)を常時湿気にさらすのは嫌です。そのため、下記の写真の通り、土台の下に基礎パッキンを置きます。これによって、土台の周りも空気が流れるようになります。

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・なお、基礎パッキンは外から基礎への通気を確保するためのものですが、私達はその用途では使用していません。この隙間は、後から 断熱材・気密テープ等で閉じられます。つまり、外から床下に外気は入りません。

さらに詳しい情報は下記をクリックしてご覧ください(↓)

床下に外気を入れないはずなのに、なぜ基礎パッキンを使っているのですか?


【家全体の湿度を除くため、梅雨~夏にかけてエアコンで除湿をおこなう】
・居住空間と床下との間で空気が流れるようにします。さらに、梅雨~夏にかけて、床下の空気を吸い上げて2階/天井付近から放出しますので床下には「空気の流れ」が発生します。
これによって、居住空間で除湿した空気が床下にも入り、空気の流れもできます。これによって床下の相対湿度が上がらないようにしています。

・1階/居住部分と床下の間で空気に流れを確保するために、「通気巾木」(下記の写真)を設置します。
(巾木と床の間に隙間を作ります。そこから空気が流れます。)

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この工夫によって、2階に設置するエアコンだけで「家全体を除湿する」ことが可能になります。


2)壁の中に空気が流れるので、収納空間にも通気ができます。
【外断熱工法】を採用する理由の一つとして「壁の中の通気」があります。
構造材を外側から板状の断熱材で覆うので、外壁面の壁内には空洞ができます。そこに空気の流れを作る事が、「構造材=木材」が呼吸できる工夫でもあります。
本来、木材は吸放湿性に優れた素材であり(呼吸する素材)、呼吸をしていれば簡単に腐ることにはなりません。これが構造材の強度を長期間保持することになります。
家全体の空気の流れをご覧ください(↓)

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外側の壁だけではなく、内部の壁の中にも空気が流れます。
そこで、収納空間内にも空気の流れを発生させることが可能になります。下記の画像は、押入れの壁面です。小さな穴がたくさんあいています。これによって、押入内にも空気の流れができます。

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押入れの中がいつもジメジメしている・・・」ということにならないため、収納部分にも通気をおこないます。この工夫によって、収納空間も「居住空間」と同じく除湿されることになります。


【参考情報】下記の情報もご覧ください(↓)
カビ、シロアリ等の対策について