【不動産ワンポイントアドバイス】

■第1回:不動産情報収集のポイントについて

皆様が、不動産を購入しようとする場合に、まず最初に物件の情報を集めると思います。一般的には、各種住宅情報誌や新聞の折込広告が、一番目に付くと思います。これらの情報は、特に不動産業者と接触せずに、情報を入手出来ますが、どちらもスペースの関係上、余り詳しい情報は、記入されていない事があります。

基本的には、お客様からお問い合わせを頂くための媒体なので、敢えて詳しい情報を掲載しないという事もあります。結果的に、業者としては、割安感のある(お買い得に見える)物件を多く掲載しております。

次に、最近多くなってきたインターネットを利用しての情報収集ですが、こちらは、画像や詳細な案内図を掲載しているものも多く、簡単にある程度の内容を確認出来るので、非常に便利だと思います。但し、新規物件の掲載は早いのですが、販売終了の確認が遅れることがあります。結果的に、既に売約済の物件が、未だ掲載されていると云った事もございます。

上記の両方法とも、情報の入手はし易いのですが、不動産を購入するにあたっては、必ず、『現地を確認する!』事を怠らないようにして下さい。最終的には、その物件を取り扱っている不動産業者に連絡を取ると思いますが、気に入った物件の情報を入手したら、出来るだけ早い段階で、現地確認をする事をお薦めします。周辺の環境とか、ご近所の様子、陽当り等、資料だけでは、充分に確認出来ない情報が、現地には沢山ありますので...。

広告等の媒体に出ている物件で、周辺の物件と比べた時に、非常に割安に感じる物もあると思いますが、『不動産にはバーゲンは無い!』という事をお忘れなく。割安な物件には、ほぼ必ず、割安にせざるを得ない理由が有るものです。これらも現地の確認や不動産業者の説明を聞けば、大抵解ります。ただ、デメリットになる情報を伝えないような業者には、注意をして下さい(最近は余り居ないと思いますが...)。

最後に、とにかく、気になる事が有ったら、どんどん業者に質問してみると良いと思います。ただ、欠点ばかり見つけていると、不動産はなかなか購入出来ないかも知れませんが...。良い点と悪い点を見比べて、検討することが重要です。

■第2回:物件確認について

今回は実際に物件を見学する場合のポイントについて説明したいと思います。

★物件確認について★
気になる物件の情報が有ったら、実際に物件を見てみましょう。そこで不動産業者から入手した物件資料(販売図面)と現地を比べてみます。この場合に、土地のみか、建物も有るのかによって、ポイントは変わりますが、ここでは、基本的な事項を説明いたします。

・ 現地の所在を確認します。出来れば担当の不動産業者に案内をして貰ったほうが、解りやすいと思います。ただ、ご自分でも解る地域でしたら、ご自分でご覧になっても良いでしょう(最近は皆様カーナビもございますし・・・)この時に、実際に物件までの交通ルートが、資料と合っているか確認すると良いと思います。特に、駅等への距離を重視される方は、実際に計測するのも良いでしょう。ちなみに、不動産の広告で、徒歩1分は、距離にして80mと換算します。

・ 道路や隣地の状況を確認します。最近では、殆どの方が車を所有されていると思いますので、道路の幅員や、対象物件との間口を確認します。実際に車を敷地に停める場合に、障害が無いか確認します。隣地の状況は、大きな建物がないか、そのような計画看板等がないか、陽当りはどうか等を見て下さい。あと、資料では解らなかった道路や隣地との高低差等も確認します。

・ 物件の地形を確認します。東西、南北の間口や、接道部分の間口等、更地の場合には、その土地に希望の建物が入るのか等を確認して下さい。境界がはっきりしない時は、不動産業者に聞いてみて下さい。

・ 設備を確認します。最低限、給水、排水、ガス、電気は、現在どうなっているか確認します。まだ引込みが無い場合には、引込みが可能なのか確認します。

・ 周辺の施設についても確認します。学校や買物、駅やバス停等、必要な施設があれば、確認して下さい。

・ 建物が有る場合には、土地のみの場合よりも注意が必要となります。最近では、余り無いと思いますが、不同沈下や、雨漏り等、大きな欠陥がないか確認して下さい。また、リフォ−ムの経歴が有れば、教えて貰いましょう。

・ 法規制については、資料を参照して下さい。明記されていない場合や、不安に感じる点があれば、不動産業者に聞いてみて下さい。特に、建物を建てる場合に該当する規制は無いか、有る場合にはどのような内容のものか確認します。


現地を確認する場合の主なポイントとしては以上のようになりますが、上手に不動産業者と付き合いながら、解らない点等があれば、どんどん質問してみましょう。


■第3回:土地の登記簿謄本について

皆様が、土地を購入しようとした時に、その土地の売主が、本当の所有者なのか、または、担保等、その他の権利が設定されていないか等、非常に気になる事柄だと思います。不動産業者が間に入って取引を行う場合には、余り起らない(稀には有るようです)と思いますが、代金を払ったのに土地が手に入らないとか、手には入ったが使えない、などというような事を防ぐ為に、登記簿謄本の確認をお勧めします。現在は、コンピューター化された法務局もありますので、呼び名が違う事もありますが、併せてご説明してまいります。

土地登記簿謄本の役割は・・・
土地登記簿というのは、簡単にいえば、どこにどんな土地が有って、その所有者が誰であるかが記載されている台帳です。

表題部(土地の表示)とは・・・
その土地の所在,地番,地目,地積などが記されています。

甲区(所有権)とは・・・
その土地の所有者が誰であるかを記しています。

乙区(所有権以外の権利)とは・・・
この欄には、抵当権とか地上権等、所有権以外の権利で、その土地の所有権を何らかの事由で制約したり、おびやかしている権利が記されます。

登記簿はどこで調べるか・・・
土地登記簿は、その土地を管轄している『法務局』で、閲覧したり、取得したりします。登記所の所在地は、電話帳の官公署の部の中の法務省の欄に出ています。ただ、法務局の管轄区域は市町村の行政単位と一致していないことが多いので、調べに行く前に、法務局に電話をして、その地域の登記簿があるのか確認すると良いでしょう。また、登記簿の地番と住居表示の番地とは違いますので注意して下さい。

登記簿を入手するには・・・
法務局にて申請書に記入して請求します。請求の仕方が解らなければ、係員に聞いて下さい。一般的には全部謄本(その土地の今までの所有者や、既に抹消された権利等もすべて記載されている)か、謄本(現在効力のある権利のみを記載)を取得します。解らないところや、権利関係の複雑なものは、係員や専門家に聞いてみて下さい。尚、コンピューター化された法務局では登記簿の閲覧をする代わりに、登記事項要約書を取得出来ます。謄本や抄本についても登記事項証明書を取得出来ます。手数料については、閲覧及び登記事項要約書が500円、全部謄本や謄本及び抄本が1,000円(10枚以内)となっております。これらは法務局にて販売されている登記印紙で支払います。


■第4回:【公図】や【測量図】と呼ばれるものについて

今回は、土地の所在を確認するために必要な【公図】や【測量図】と呼ばれるものについて、簡単にまとめてみましたので、参考にして下さい。

公図とは・・・
土地の登記簿謄本を見てみると、表題部に土地の所在、地番、地積等が記載されています。しかし、これだけでは、実際の土地の位置は確定出来ません。また、住居表示の実施されている地域でも住居表示上の番地と登記簿謄本の地番は一致しませんし、住居表示の実施されていない地域では、地番は必ずしも隣の土地と連番になっているとは限りません。また、登記簿謄本だけでは、対象地の形状や方位、接道等も解りません。そこで、これらを図面上で確かめる為に、登記所に備えてある【地図(公図)】を参考にします。区画整理事業の完了した地域や大規模な開発団地等は、割と正確な図面が出来ておりますが、昔の字切図を使っている地域も多いので、このような地域では、正確な大きさや方位、形状は、公図では確認できませんので注意して下さい。あくまでも、『どの地域に、どんな地番の、どんな地形の土地か、隣接する土地はどれか』を大体の見当で記入してある物と考えれば良いと思います。

測量図(実測図)とは・・・
公図だけでは実際の土地の形状や大きさ、正確な方位までは確認できないので、大体の場合には【測量図(実測図)】を参考にします。こちらも登記所に備えられていますが、全ての土地に有るわけではないのですが、最近造成されたような土地には大抵有ると思います。この図面もあまり古いものは正確でないものがありますので気を付けて下さい。土地を購入する際には、測量図と現地の境界の位置が合っているかを確認しましょう。あまりにも誤差がある場合は、実測精算や新たに測量をして貰ってから購入すると良いでしょう。

まとめ・・・
公図や測量図を確認するのは、実際に建てられる建物の大きさや形状を検討したり、隣地がどれなのか、境界が何処になるのか等を確認するのに有効です。土地を購入する前には、現地の確認も勿論必要ですが、登記簿謄本、公図、測量図の3点も確認して頂きたいと思います。


■第5回:11月のワンポイントアドバイス

今回は、建築が可能な土地か?といった点について説明していきたいと思います。

『土地を購入したのに、建物が建てられない』ということが起こらないように、順次ポイントを解説してまいります。

まず、最初に確認したいのは、都市計画についてです。これは、自治体の都市計画を担当する部署に備えられている【都市計画図】で確認出来ます。こちらは、閲覧することも購入することも可能です。この図面で、対象物件が【都市計画区域内か外か】、【線引きされているか】を確認しましょう。それと共に【用途地域】や【建ぺい率/容積率】を確認します。

ここで注意したいのは、対象の土地が、『どんな種類の建物をどの位の規模で建てられるのか?』という点です。特に『市街化調整区域』に指定されている地域では、どのような基準で建築が可能なのか、よく調査したいところです。また、上記以外の法令や条例等による規制が有る場合もあります(都市計画道路や施設、区画整理や地区計画等・・・)ので、よく不動産業者さんに確認して下さい。不安に思う点が有れば、自分で関係機関に問い合わせてみましょう。

次に、都市計画等では、建築可能な地域と解ったら、【敷地と道路の関係】について確認します。一般に、都市計画区域内で、建築可能な地域でも一定の基準の道路に接していない土地には建築は出来ませんので注意が必要です。
では、建築基準法上の道路とはどのような道路かを書き出してみます。

1. 道路法でいう道路
国道,都道,北海道道,府道,県道,市道,区道,町道,村道で幅員が4m以上のもの

2. 都市計画法の道路
都市計画事業によって築造された幅員が4m以上の道路

3. 土地区画整理法の道路
土地区画整理事業によって築造された幅員が4m以上の道路

4. 上記の2、3の道路の設置計画があり特定行政庁が指定した幅員が4m以上の道路

5. 都市計画区域に指定されたときに既に存在していた幅員が4m以上の道路

6. 建築基準法の基準に合い特定行政庁の位置指定を受けた幅員が4m以上の道路


■第6回 1月のワンポイントアドバイス
2005年になり初めてのワンポイントアドバイスとなります。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
今回は、前回(11月号)の続きで、土地に建物を建てる場合の規制等についてご説明したいと思います。前回は、建築基準法上の道路の種類を列記しました。今回は、それ以外の場合等についてご説明いたします。

・公道と私道
公道とは、国道、県道、市道、区道、町道、村道のように、国や地方公共団体が所有及び管理をしている道路です。私道とは、個人や法人が所有及び管理をしているものです。公道は、前回ご説明した『道路』に該当する場合が多く、私道でも『道路』に該当するものがあります。しかし、公道であっても私道であっても前回ご説明した条件を備えているものは『道路』、そのような条件を備えていないものは、『道路ではない』と理解してください。

・道路幅員が4mないとどうなる?
基本的に敷地が接する道路の幅員は、4m以上なければ家は建てられないことになっています。しかし、地域によっては、幅員1.8mとか2.7mという狭い道路沿いに、住宅が建ち並んでいることがあります。これは、その地域が、都市計画区域の指定を受けたときに、既に建物が建ち並んでいた道で、特定行政庁の指定を受けたものは、敷地の境界線を道路の中心線から2m後退させるなどして、その範囲内に建物や塀を造ることが出来るようになっています。このような道路を『二項道路』と呼びます。これは、その道に沿って建てられている各々の建物が、増改築や建て替えをされる時に、敷地の境界線を後退させていけば、その道路沿いの全ての建物が新築や増改築された後に、その道路の幅員は、4mになるということになります。但し、都市計画決定時に、すでに建物が建ち並んでいた、ということと、特定行政庁が指定したもの、という条件が必要となります。このような道路に接する物件の場合は、必ず確認をしておきたいものです。



■第7回 3月のワンポイントアドバイス

今回は、実際に建物を立てる際に関係してくる建築基準法等について簡単にご説明いたします。

建築基準法とは・・・
建築基準法というのは、建物の敷地や建物の構造、設備、用途等の最低限の基準を定めて、その建物を利用する人々の健康、建物が簡単に壊れないようにする強度、財産価値を簡単に失わないように保護する等の目的とその地域全体の建物の環境を守る為の法律といえます。当然、都市計画法と関連しておりますし、地域の実情に合わせて規制を行う部分もあります。

1. 安全や衛生面について
基本的に建物の敷地は、前面道路より高くするですとか、雨水や排水等の排出設備を設けること、また、がけ崩れの恐れがあるときは、擁壁を設ける等を定めています。次に、建物の主要構造部が構造上安全であること、防火地域内等では、類焼の危険を少なくするような外壁や屋根を造ること、住宅の場合は、居室の最低限の採光を確保すること、電気やその他の建物付属設備についての安全と防火上の規制等がさだめられています。

2. 地域社会のための規制
2の規制は、これから建築しようとしている建物そのものに対する規制で、『単体規定』といえますが、建築基準法では、これと並んで、その建物の建てられる地域社会の環境保護の為の規制もあります。これを『集団規定』といいます。代表的なものは、用途地域の指定による建物の用途制限です。土地の購入を検討される場合等、必ず確認して頂きたいものです。