【住宅がかかえる問題点】(パート2)

【家庭内事故死】について細かくみてみましょう。

再度、下記の死亡原因を見てください。

転倒・転落:             2,163人
溺死・溺水:             3,293人
煙、火及び火炎への曝露:    1,236人
夜着、その他の着衣及び:       88人
衣服の発火又は溶解への曝露

1)転倒・転落について
家の中をバリアフリー(段差解消)にすることによって、転倒はかなり防ぐことができます。加齢により、視力が弱るため、細かな段差でもつまずいてしまいます。畳の縁や敷居などで転倒するのです。転倒することによって、死ななくても大怪我をされる方がいます。
ところが、実は、段差解消だけでは「転倒」を防ぐことはできません。
すでに別の投稿で書いた通り、トイレ・風呂場で倒れる方がいます。これは「急激な温度差が原因による転倒」です。そのため、最近では、風呂場内にセンサーを設置し、一定時間動かなくなった場合、家族に警報を鳴らす装置が売れています。

トイレ・風呂場で倒れる原因の一つが「ヒートショック」です。

暖かいリビングから、「寒い廊下」に出て、それから「寒いトイレ」に入ります。
「暖かいところ」から「寒いところ」へ移動するわけです。当然、体を寒さから守るため、血管が収縮します。血圧も上がります。そこで倒れるのです。段差が無くても倒れます。

2)溺死・溺水について
浴槽内での溺死も「ヒートショック」により引き起こされます。
「暖かいリビング」から「寒い脱衣室+裸になる」、そして、「暖かい湯の中」という急激な温度差を繰り返し体感することになります。
若い時には、何でもない、この急激な温度差(ヒートショック)が意識を失わせるのです。

3)煙、火及び火災への曝露について
キッチンで調理している時の「火」も原因となります。天ぷら油への着火と同じく、注意すべきなのが、グリル(魚を焼く部分)からの出火です。魚の油に引火するのです。グリル内に水をはるのは、それを防ぐためです。
しかし、残念ながら、「水をはらない」「グリル内に魚油が残って付着している」などにより、出火する例が後を絶ちません。
しかも、魚の油は爆発的に燃え上がります。あせって、水をかけたりすると、まさに爆発状態です。


4)衣服への着火について
フリースなどの着火しやすい衣服が多くなりました。
料理をしている時に、鍋の中をかき回す時、手元が熱かったり、衣服に着火することがあります。
やはり、キッチンでの「火」が原因です。加齢により、衣服への着火後に、迅速に対処することが難しくなります。


このように、「ヒートショック」「キッチンの火」による原因は見過ごすことができません。
もちろん、それだけの原因で、全ての【家庭内事故死】が発生するのではありませんから、「ヒートショック」「火」を解決しても、家庭内事故死がゼロになることは難しいのです。

しかし、「ヒートショック」「キッチンの火」という2つの原因だけでも解消すれば、こんなにたくさんの方が亡くなってしまう現実を、少しでも改善できると思います。
ところが、住まいに関する「危険」はこれだけではありません。

■家族の命を守るため「防犯住宅」

「どうも、最近は凶悪犯罪が増えてきたような・・・。気のせいかな。」などと感じている方も多いのでないですか?

新聞・テレビを見るたびに、強盗・拉致・監禁・殺害というニュースが目に付きます。警視庁管轄内の東京都では、「侵入窃盗」の発生件数が、1997年12万件だったのが、2002年には18万件にもなっています。その一方で、検挙率は年々低下し、1997年には78%だったものが、2002年には何と!27%にまで落ち込んでいるのです!
日本の長所であった「水と安全はただ!」という神話は崩壊しました。

実際に、「侵入窃盗」の被害にあった方にとって、金品が盗まれるという被害以上に「精神的な被害」があります。侵入窃盗に対する恐怖です。

「また、泥棒に入られるのではないか? その時、泥棒とはちあわせしてしまったらどうしよう・・・」
というものです。

実は、私の妻も、ずいぶん前になりますが、独身時代、マンションの4階に住んでいながら「侵入窃盗」被害にあいました。
4階なのに、どうして・・・・
と思ったようですが、それより、また被害にあうのが怖くて転居することになりました。

このように、大きな被害を被る「侵入窃盗」ですが、アメリカでは、鍵・ガラスの防犯対策は当然のことであり、さらに【ガーデンライト】を設置するようです。
明るいところ(庭・家のまわり)には、泥棒も入りにくいようです。

泥棒が、「ガラスを破る⇒鍵を開ける作業」をする間、やはり人目が気になるのでしょう。何かの影に隠れて、誰にも見られずに侵入のための作業をおこないます。

「治安が悪化してきた現代」で安全に暮らすには、こんな防犯対策が必要になります。

1)目隠しになる外構・塀などは作らない。
 ⇒外から丸見えになるオープン外構

2)防犯システムの導入
 ⇒セコムなどのシステム、警報システムなどの導入

3)防犯ガラス・玄関に複数の鍵を設置する
 ⇒侵入するまでの時間を長くさせます
 ⇒ドロボウがあきらめるような強烈な面格子を設置する。

4)光・音による威嚇
 ⇒建物外周部・駐車場に人感センサー付きライトを設置する

これらの対策は、今や「当たり前」です。