【賢者の贈り物】(パート2)

嫌がっていた「家族旅行」ですが、たった一つだけ記憶に残っている出来事があります。

ある時(たぶん夏だったと思うのですが)、家族で山に登りました。どこの山だったかは忘れました。父が山登りが好きで、家族旅行で山登りに行ったのが数回はあったはずです。

頂きに向けて登っている途中、いきなり父が立ち止まりました。そして、

和浩、この白い小さな花をよく見なさい。これは高山植物だよ。こんな岩の間にはえるためには、自分が死んで子孫のために栄養分になる必要があるんだよ。

いったい父は何を言いたかったのでしょうか?

実際、岩の間にあるかすかな土には栄養分が無いでしょうから、そこに生育するためには、前にはえた植物が枯れて、それが栄養分になるのかもしれません。

父の言いたいことがよく理解できなかったのですが、その光景だけは、しっかりと記憶に残りました。

娘を持って、初めて意味が理解できました。私は娘の命のためなら、喜んで、自分の命を犠牲にできます。特に無理をするわけでもなく、命を捨てることができます。それが「親」になるということなのですね。

数年前、実家が引越しする際、初めて、父が27歳の時の写真を見ました。
驚愕しました。
私にそっくりです。同じ顔です。

DNAの仕組みは凄い!こうして、命が受け継がれていくのを感じました。

最近、子供の顔がますます私にそっくりになってきました。子供にとって、それが良いか悪いかは別ですが(笑)、まさに「神様の贈り物」です。