【ジオパワーの地熱利用との違いは?】

【質問】
ジオパワーという会社も地熱利用をおこなっているようですが、御社の地熱利用との違いは何ですか?


【回答】

地中熱とは「マグマの熱」とは無関係のものです。

私たちが暮らしている日本は「夏暑く、冬寒い」「日中と夜間の温度差も大きい」という気候条件です。
ところが地下−5mでは夏に最低温度16℃、冬に最高温度18.5℃と安定した温度ではありますが、夏冬が逆転しています。(銚子気象台調査)

これは「土の蓄熱量が大きい」ために地中深くに熱が届くのが遅れるためです。洞窟や井戸水が冬に暖かく、夏に冷たいのもこのためです。
この地中の熱(冷熱)を地中熱と呼んでいます。

GEOパワーシステムさんと当社エコシステムとの大きな違いは地中熱の活用の「仕方」です。
GEOパワーシステムさんは、地下深くまで配管を埋設し、『地中深くにある熱』を取ってきて使う方法です。

当社エコシステムは、「土に熱が伝わるのには時間がかかる」という『物理的性質』を活かして、住宅に接している地表面(床下土間表面)を地下5mと同じ(暖かい)状態にする工夫をしています。

簡単に言い換えると

・遠い田舎で作った野菜を毎日電車に乗って買いにいく。(GEOパワーシステムさん)
・田舎の野菜作りの方法を見習って、自分の家の庭に野菜を作る。(当社エコシステム)

と言うような違いでしょうか。
ここでは地下深くを「遠い田舎」、熱(冷熱)を「野菜」、地中配管を「電車」、住宅に接している地表面を「自分の家の庭」に例えてみました。
(ちなみにこの例で言えば、GEOパワーシステムさんは電車の線路も引かなければなりませんね。)

GEOパワーシステムさんは、これを換気システムとして使っています
地下にある熱を取るために地中に配管をしてそこに空気を通しています。
具体的には、冬冷たい(夏暑い)外気を地中に埋めた配管を通して地中熱で暖め(冷やして)室内に入れます。
「地中深くへの配管埋設」「地中深くまでの長い経路に空気を流すための設備とそのランニングコスト」「配管のメンテナンス」などの費用が気になるところです。

当社エコシステムでは土の「蓄熱量が大きい」という物理的な性質を活かして、住宅に接している地表面(床下土間表面)を地下5mと同じような状態にする工夫をしました。
つまり、住宅内部空間を地中と同じような温度変化の少ない「安定した温熱環境」にしようと試みたわけです。
これにより冬季の住宅の床下地中は「地下5mから床下土間表面まで」をほぼ一様な温度にすることが出来ました。

冬季、外気温が急激に下がり、これにつられて室内温度が下がりそうになると土間表面全面から住宅内空間に直接放熱が行なわれます。(夏季は吸熱をします。)
ですから地中配管やそこに空気を流すための大掛かりなシステムなどは必要ありません。

この方法は、実は北海道のアイヌ民族の住居「チセ」に倣ったものです。
高度な技術力を持たないアイヌの人々がー40℃にもなる極寒の地で生きながらえることができたのは「シンプルに地中熱を活用する知恵」を持っていたからです。(「竪穴式住居」なども地中熱を活用していたようです。)

もちろん、アイヌの人々や昔の人類は、「物理的性質」を知っていたわけではないようです。
しかし、世代を越えて古くからの経験が言い伝えられることによって、結果として地中熱を効率よく活用することが出来ていたということでしょう。
考えてみると、人類だけでなく動物や昆虫も地中熱に守られて寒い冬を越していますね。

(私を含め、)現代人は「エネルギーはお金を払って買うもの」という意識が根底にあるようです。
しかし本来、人類はお金を払って「遠くから運んできたエネルギー」を買わなくても
「自分のおかれた環境の中の自然エネルギー」で暮らしてきました。

当社エコシステムは単に「省エネルギー」「エネルギーコスト削減」を目標としたのではなく、自分のおかれた環境の素晴らしさ・有難さに気づくことが出来る、「心の豊な生活」のきっかけとなるような住宅を目指していることをご理解いただければ、と思って居ります。

大変長くなってしまいましたが、以上を回答とさせていただきます。