新建ハウジング 平成14年10月10日

新建ハウジング掲載記事 平成14年10月10日
★特集:進化する次世代の快適暖房★
「工務店の技あり施工例」知恵いかす先進エコ暖房
太陽光+地熱利用の省エネ暖房

太陽光と地熱。ありふれた存在だが、しかし無尽蔵かつ無料であるこれらのエネルギーを、住宅の空調に利用し省エネルギーに役立てようとする試みが各地で行われている。



(記事より一部抜粋)
□地熱の知恵いかすアイヌの伝統民家
地下5メートルほどの地中温度は年間を通して15〜18℃で安定していることが、さまざまな研究から明らかとなっている。さらに、地中温度は半年遅れで、最高の18℃になるときは冬。最低の15℃になるのは暑い盛りの夏ということも明らかとなっている。
これらのことを古代アイヌの人々は経験として知っており、その知識を伝統住宅「チセ」に生かしていた。

「チセ」での生活様式は、伝統的な床づくりをしたうえで、年中トロ火を絶やさないように土間の冷え込みを抑え、地面の蓄熱力を活用。地中に保存された熱を冬場に、部屋へ放熱することで暖房効果をもたらす工夫が凝らされている。
さらに、雪によって外側から断熱する(外断熱)なども併せておこない、地中からの熱を部屋にいかすことで冬でも凍えることなく生活できるようにつくられている。

□現代に蘇ったチセ「エコシステム」

このアイヌの人々の叡智を現代によみがえらせたといえるのが「エコシステム」だ。「エコシステム」は躯体の屋根・壁・基礎を外側から断熱材で張る外断熱工法。断熱効果を高めるため、二重サッシ+断熱雨戸を採用。また、床下空気が壁の断熱材の内側にある通気層を通じ、床下と1階部分の自然通気が図られるなど、工夫がなされている。